
複数書店の書店員が選んだ“「生きる」に寄り添う本”に贈る小さな文学賞です。様々な環境で暮らす人々の「生きる」助けになるような、そんな本を手に取って欲しいという想いから生まれました。1年間に発売された“「生きる」に寄り添う” 広義のノンフィクション・エッセイの書籍から、有志書店員が各書店で1作品を候補作として選出し、選考会を経て「一番良かった、伝えたい本」を大賞として選出します。
2023年12月に創設、発表された『第1回生きる本大賞』は、土門蘭 著「死ぬまで生きる日記」(生きのびるブックス 刊)が大賞に選出されました。書店の垣根を越えた取り組みを開始した『第2回生きる本大賞』では、小山さんノートワークショップ 編「小山さんノート」(エトセトラブックス 刊)、奈倉有里 著「文化の脱走兵」(講談社 刊)の2作品がダブル受賞となりました。
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書名:専門家なしでやってみよう! オープンダイアローグ――安全な対話のための実践ガイド
著者:石田月美、頭木弘樹、鈴木大介、樋口直美 出版社:晶文社

書名:遺骨と祈り 著者:安田菜津紀 出版社:産業編集センター





「専門家なしでやってみよう! オープンダイアローグ――安全な対話のための実践ガイド」
【選考者コメント】
巷で話題の、だからこそ「胡散臭い」とも思われているオープンダイアローグについて4人の当事者が専門家なしで体験してみた対話の記録。この本自体が見事なポリフォニーを体現していて、「ならば私は、どんな声を発してみる?」と世界に向かって小声でつぶやきたくなる。対話を信じる入り口に。
「危険な会話」は日常のなかに溢れていることにはっとした。本書は「安全な対話」のための実践の記録であると同時に、生きるための道具としての本であった。安心できる場を作ろうとしているからこそ読者にもひらいた本となり、笑って泣いて、心をオープンにして読むことができる。
ハーモニーは気持ちいい。だから厄介だ。困りごとを持ち寄り、ルールに則り会話する。そこには同情も遠慮も、解決もいらない。それでもこの会話は安全なのだと、本書の実践が示している。これはすべての対話の場で根底に持っておくべき考え方だ。ポリフォニックであることが、もっとも自然な世界の在り方であり、生き方であるのだから。
【編集者受賞コメント】
このたびは本書を大賞にお選びいただき、心より御礼申し上げます。この本は、著者の四人が試行錯誤をしながら、〈対話〉の場を実際につくってみた記録です。説得したり忠告したりすることなく、たがいの言葉に耳を澄ませ、ただ対話そのものを続けていく。その営みが、人が生きるうえでの支えになりうることを、本書は身をもって示してくれました。わたしは普段、人に説得や忠告をする本ばかりつくっています。確かにこれらが必要になる場合はありますが、それは「生きる」ことのごく一部を占めるにすぎません。もっと手前にもっと大事なことがたくさんある。そんな当たり前のことを、わたしは著者のみなさんからあらためて教わりました。この受賞をきっかけに、対話のテーブルがさらに多くの場へと広がっていくことを願っています。著者のみなさま、斎藤環先生、本書を届けてくださった書店員のみなさま、読者のみなさまに、あらためて深く感謝申し上げます。
石田月美
1983年生まれ、東京育ち。物書き。高校を中退して家出少女として暮らし、高卒認定資格を得て大学に入学するも、中退。2020年、自身の婚活経験とhow toを綴った『ウツ婚!!──死にたい私が生き延びるための婚活』(晶文社)で文筆デビュー。本書は2023年に漫画化(講談社)。様々な精神疾患を抱えたまま、婚活し結婚、不妊治療を経て2児の母。エッセイを中心に寄稿記事多数。2024年、『まだ、うまく眠れない』(文藝春秋)を刊行。2025年、鈴木大介との共著『好きで一緒になったから』(晶文社)を刊行。
頭木弘樹
文学紹介者。20歳で難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間の闘病生活を送る。カフカの言葉が救いとなった経験から『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。以後さまざまなジャンルの本を執筆している。著書に『食べることと出すこと』(医学書院)、『自分疲れ』(創元社)、『口の立つやつが勝つってことでいいのか』(青土社)、『六人部屋の十三年間 病室で出会った忘れられない人たち』(晶文社)など。NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。
鈴木大介
文筆業・ルポライター。1973年千葉県生まれ。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし『最貧困女子』(幻冬舎新書)などを代表作とするルポライターだったが、2015年に脳梗塞を発症して高次脳機能障害当事者に。その後は当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』(新潮新書)や夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)などを出版。2020年、援助職向けに書き下ろした『「脳コワさん」支援ガイド』(医学書院・シリーズケアをひらく)にて日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞。近刊に『貧困と脳──「働かない」のではなく「働けない」』(幻冬舎新書)など。
樋口直美
文筆家・レビー小体病当事者。1962年生まれ。50歳でレビー小体型認知症と診断され、多様な脳機能障害、幻覚、自律神経症状などがあるが思考力は保たれている。著書に『誤作動する脳』(医学書院)、『私の脳で起こったこと』(ちくま文庫/ブックマン社)、『「できる」と「できない」の間の人』(晶文社)。共著に『レビー小体型認知症とは何か』(ちくま新書)、『わたしの身体はままならない』(河出書房新社)ほか。
【内容紹介】
ただ繰り返し対話する、それだけで高い効果をもたらすとして精神医療やメンタルケアの世界で注目される〈オープンダイアローグ〉。この手法、病気や困りごとを抱えた当事者だけで安全に行えることをご存じですか? 本書は、全員素人かつ病気/障害持ちの物書き4人がオンラインで行った対話をもとに作成した、悩める者の悩める者による悩める者のためのガイドブックです。これまで話せなかったことを話せる場の力、問題を解決しなくても救いが訪れる驚き──こころのケアの新しい可能性をひらくオープンダイアローグの世界へようこそ。実施にあたり精神科医・斎藤環氏と交わしたQ&A、オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパンによるガイドライン(抜粋)も収録。
【名称】 『第3回 生きる本大賞』(いきるぼんたいしょう)
【コンセプト】 多様な社会に対し“「生きる」に寄り添う”書籍を提案する書籍賞
【選考基準】 対象期間(2025年1月から12月)に発売された“「生きる」に寄り添う”広義のノンフィクション・エッセイの書籍から選書。有志書店員7名の選考委員が候補を選出し、選考会を経て「一番良かった、伝えたい本」を大賞、その他候補作をノミネート作として選定。
【大賞発表日】 2026年8月28日(金)
【展開開始日】 発表後、随時
【実施店舗】 未来屋書店 全国194店舗(フェア開催店舗:96店舗、大賞のみ展開店舗:98店舗)
青山ブックセンター本店(東京都渋谷区)/TOUTEN BOOKSTORE(愛知県名古屋市)/ほんの入り口(奈良県奈良市)/本屋イトマイ(東京都板橋区) /もくめ書店(山梨県南都留郡道志村)

※大賞作品は平賀店、日の出店、東員店を除く全店舗で展開

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